【完全版】運転資金を算出するための計算ポイントとは

投稿日:2021.07.14 更新日:2021.11.15
運転資金を計算する方法をわかりやすく解説

経営者は運転資金がどれくらい必要なのかを常に把握しておく必要があります。

運転資金には常に必要になる正常運転資金以外にも突発的に発生する資金があります。

経営者はそのどちらにも対応できなければいけません。

ここでは運転資金の算出方法・計算方法と、確実に運転資金を確保・調達するための注意点について解説していきます。

この記事の執筆者【FP】田中宏一郎
編集長田中
国家資格の2級FP技能士を取得しています。 父の借金のせいで一家離散を経験。その後、母の勤め先から奨学金をもらって国立滋賀大学に進学しました。 借金の酸いも甘いしっている私が、正しい金融の...
この記事の監修者【FP】恩田雅之
FP恩田雅之
1959年 東京生まれ。 専修大経営学部卒業後、16年間パソコン業界の営業の職業に携わる。 2004年3月にCFP®資格を取得後6月、札幌にて「オンダFP事務所」を開業。 初心者向け...

運転資金の算出

事業資金には運転資金の他に設備資金があります。

設備資金の場合は必要な設備の金額がハッキリしています。

いっぽうの運転資金は多いほど経営は楽になりますが、融資で調達する場合は必要以上に借りてしまうと金利負担も大きくなるため、必要額を正確に算出しなければいけません。

運転資金はなぜ必要か?

運転資金は仕入れが必要な業種の事業や、売上に現金だけなく売掛金が生じる場合必要となります。

売掛金とは、売上が発生してから数ヶ月経過しないと現金にならない、いわゆる「ツケ」のことです。

例えば卸業者の場合、小売店との取引では、毎月月末に締切日を設けて2ヶ月後の月末に振込してもらうといった取り決めをしています。

卸業者も仕入れが必要なので、仕入業者への支払が1ヶ月後であれば、常に売掛金が現金化するまで1ヶ月のタイムラグがあります。

仕入れの支払から売掛金の現金化までをつながなくてはいけないので、運転資金は慢性的に必要な資金となります。

FP恩田雅之FP恩田
売上イコール現金、支払いイコール現金ではないので、現金が振り込まれる期日、現金を支払う期日をしっかり把握していないと「売上あって銭足らず」の状態になってしまいます。

運転資金の計算式

必要な運転資金を算出するための計算式は下記のとおりです。

運転資金=売上債権残高(売掛金・受取手形)+棚卸資産残高-仕入債務残高(買掛金・支払手形)

売上債権残高は売上金の中でも現金化されていない売掛金や受取手形で支払われた金額です。

受取手形も支払期日まで現金化されない金額です。

棚卸資産残高は仕入れした商品の中でまだ売れていない商品のことです。

これも現金化されていない商品なので、売掛債権に加えます。

仕入れ債務残高は入金予定の金額なので差し引きます。

これを具体的な数字で理解するためには、3つの回転率や回転期間について説明が必要となります。

各回転率の計算(財務比率)

資金の効率性を示す指標として資金の回転率があります。

使った資金がどれだけの売上を生み出しているのかを見るための指標で、数字が大きいほど効率が良いことを示しています。

資金回転率の中で、売上債権回転率・棚卸資産回転率・仕入債務回転率について個別に解説します。

売上債権回転率

売上債権回転率 = 売上高 ÷ 売上債権(売掛金・受取手形等)

例:1,000÷500=2、1,000÷200=5

例を見ると分かる通り、売上債権が少ないほど回転率は高くなり効率的です。

棚卸資産回転率

棚卸資産回転率 = 売上高 ÷ 棚卸資産

この場合は棚卸資産(在庫)が少ないほど回転率は高くなります。

仕入債務回転率

仕入債務(買掛債務)回転率 = 売上原価 ÷ 仕入債務(買掛金・支払手形)

回転率が低いほど仕入れの支払に時間がかかっていることになります。

それぞれの回転率を分析すると、どの部分が弱いのかわかり対処しやすくなります。

しかし、業種によって標準の回転率が違うので、感覚的にわかりにくいというデメリットがあります。

回転率を回転期間に置き換えると具体的に必要な運転資金を導き出すことができます。

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各回転率の中で、自社内でコントロールできるのが棚卸資産回転率になります。まずは、棚卸資産回転率を上げる工夫をしましょう。売上債券回転率、仕入債務回転率は相手先があるので回転率を上げるには地道な交渉が必要になります。

回転期間から運転資金を算出

各回転率を日数や月数に置き換えると必要な運転資金を割り出すことができます。

計算方法は簡単で、売上債権・棚卸資産・仕入債務をそれぞれ1日(1ヶ月)あたりの売上高(平均日商・平均月商)で割ると回転期間がわかります。

具体的に回転期間(日数)を算出してみましょう。

1年の売上累計6,000、売上債権1,000、仕入債務600、棚卸資産500の場合(単位万円)

・売上債権回転期間:1,000÷(6,000÷365日)=60.8日
・棚卸資産回転期間:500÷(6,000÷365日)=30.4日
・仕入債務回転期間:600÷(6,000÷365日)=36.5日

上記はそれぞれ、仕入れてから30.4日(棚卸資産回転期間)で売れて、売れてから60.8日(売上債権回転期間)で回収したということがわかります。

また仕入れてから36.5日(仕入債務回転期間)で支払うということも明確になります。

これを運転資金の計算式に当てはめてみると運転資金に必要な日数がわかります。

運転資金 =売上債権残高 + 棚卸資産残高 – 仕入債務残高

運転資金に必要な日数=60.8日(売上債権回転期間)+30.4日(棚卸資産回転期間)-36.5日(仕入債務回転期間)=54.7

これに1日あたりの売上をかけると必要な運転資金がわかります。

54.7日✕(6,000÷365日)≒900(万円)

ここで算出した運転資金は、恒常的に必要な資金なので正常運転資金や経常運転資金と呼んでいます。

つまり経営していく上で必要な運転資金なので、常に正常運転資金は確保しておきましょう。

問題は売上高が下がる、売掛債権が増えるなどの理由で一時的に必要となる運転資金です。

この運転資金に対応するためには、短期間で調達できる資金調達方法が必要です。

FP恩田雅之FP恩田
一時的な運転資金の増加に備えるため、まずは正常運転資金の金額を把握することから始めることが重要です。

運転資金は融資スピードを重点に検討

公的融資や銀行融資は低金利で借入ができるものの、融資スピードに課題があり、初めての利用であれば1ヶ月以上かかることも考えられます。

運転資金は事業基盤になる資金なので、ショートさせてしまうことは絶対にさけなければなりません

そこでおすすめなのが、ビジネスローンを活用した資金調達方法です。

調達方法 融資スピード 金利水準
(実質年率)
日本政策金融公庫 2~4週間 約1.0%~3.0%
銀行融資 2~4週間 格付ランクによる
アイフルビジネスファイナンス 最短即日
(審査回答)
3.10%~18.0%
オリックスVIPローンカードBUSINESS 最短即日
(審査最短60分)
6.0%~17.8%
プロミス(自営者カードローン) 最短即日
(土日祝OK)
6.3%~17.8%

融資までに時間がかかる銀行融資に比べて金利は高いものの、ビジネスローンであれば最短即日での資金調達が可能となります。

ノンバンクから資金調達をするポイント

ノンバンクのビジネスローンはほとんどが融資限度額は500万円までで、さらに高金利となっているので一時的なつなぎ資金に利用しましょう。

ビジネスローンの融資スピードは銀行と比べると早く、即日でも融資が可能です。

いっぽうで返済期間が長くなるほど金利負担も大きくなるので、なるべく短期借入と少額の利用にとどめることがポイントです。

ビジネスローンで一時的な運転資金のやりくりをし、低金利の融資が受けられるようになったら切り替えれば、事業継続への影響は軽微になります。

金利が高くても少額・短期の借入であれば、年利の低い銀行融資を高額・長期の借り入れをするよりもトータルで支払う利息は少なくて済む場合が多いです

ビジネスローンの中でもカードローンタイプ(法人カードローン)であれば、今すぐ利用する必要がなくても、先に申し込みをしてカード手に入れておくだけで、いざというときに役立ちます。

事前に審査は済ませてあるので、突発的な運転資金が必要になった際に、近くのATMやCDから融資を受けることができるので便利です。

土日祝日でも最短即日で借りれる消費者金融系

プロミス公式バナー

日々の資金繰りに気をかけていても予期せぬ事態で資金が必要になることもありますが、審査の早いビジネスローンとは言え、土日祝日は対応ができないケースもあります。

しかし貸金業を専業とする消費者金融が提供しているビジネスローン(カードローン)であれば、土日祝日であっても最短即日で借入することができます。

消費者金融系でおすすめはプロミス自営者カードローンです。

自動契約機の設置数が業界トップクラスのプロミスであれば週末の契約もやりやすく、何よりも初回利用なら30日間の無利息期間のサービスも受けられます。

お急ぎで金利などを気にしていられない場合でも、無利息期間内であれば借りた分だけ返済すれば良いのです。

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事前にビジネスローンを契約することで数百万円の融資枠を確保することができます。
それにより、急な支払い発生した場合でも落ち着いて対応が取れるでしょう。

その他の一時的な事業資金の対処方法

資金の調達方法にはいろいろありますが、それぞれの特長を理解して適切な資金調達を行ないましょう。

金融機関からの借入

日本政策金融公庫や銀行といった低金利の融資の場合は、融資審査期間が長く緊急の資金調達には向いていません。

また、特に銀行の場合は審査も厳しく、担保や連帯保証人が必要な場合もあります。

しかし、不動産などの担保が充分にあれば、低金利で融資を受けることができ、長期借入も可能になるのでメリットがあります。

根抵当権を設定することで繰り返し融資を受けることもできるので、不動産がある場合は積極的に活用しましょう。

手形割引

売上の支払に受取手形がある場合には、手形割引によって現金化することができます。

受取手形は支払期日までは現金化できませんが、銀行や手形割引業者を利用すれば手数料を支払って現金化することができます。

銀行の場合は融資扱いとなるので手形を持ち込んだ側の信用調査も行なわれます。

場合によっては担保も必要となることもありますが、手形割引業者の場合、信用調査はなく担保も不要です。

銀行でも数日、業者の場合は即日にも現金化できるので、現金化のスピードはどちらもそれほど変わりはありません。

ただし手数料に関しては、業者の方が高くなります。

また手形が不渡りとなった場合のリスクは、手形受取人が負うので注意しましょう。

同じような方法としては借り手が受取手形を貸し手(金融機関)に発行する手形貸付もあります。

どちらも手形不渡りになるリスクがあるので、不渡りの可能性が低い場合に利用しましょう。

ファクタリング

売掛債権を現金化する方法として、ファクタリングがあります。

ファクタリングでは、ファクタリング業者に売掛債権を譲渡することによって現金化することが可能です。

ただし掛目と手数料があるため、売掛債権全額が現金化できるわけではありません

売掛債権を100とすると掛目80%では、買取は80以下の金額となります。

さらに手数料5%~25%と実費(司法書士報酬、印紙代など)も必要です。

掛目で減額した金額は業者が売掛債権を回収できれば戻ってきます。

もうひとつのリスクは、売掛債権の譲渡が取引先に知られてしまうという点です。

取引先に通知することなく利用できるファクタリングは手数料や実費が高く、取引先に通知するファクタリングは手数料が低いですが取引先からの信用を落とすなどのリスクが生じます。

おすすめファクタリング会社ビートレーディング

ファクタリング会社によっては、売掛債権の現金化に数日かかる会社もありますが、ビートレーディングでのファクタリングなら最短即日で現金化も可能です。

また、ビートレーディングなら2社間、または3社間ファクタリングの両方に対応しています。

2社間のファクタリングなら売掛先に債権譲渡の事実が発覚することはありません。

二者間ファクタリングの図解

取引先に知られずに売掛債権を現金化できるので、信頼関係を維持したまま資金調達が可能です。

FP恩田雅之FP恩田
借入方法については、その方法を利用するしないにかかわらず、様々な借入方法の仕組みやメリット・デメリットは押さえておきましょう。それにより、急な支払いが必要な時に手数料抑えた借入方法を選択できるようになるでしょう。

運転資金の調達を減らすための改善方法

中小企業は特に、根本的に必要な運転資金を減らす努力も必要です。

体質的に少ない運転資金で経営できるようになれば、金利負担も少なくなり、お金がうまく回るようになります。

普段から以下のことに注意して企業体質の改善を図りましょう。

  1. 売掛代金の回収サイト(回収期間)を短くする
  2. 仕入れ代金の支払サイト(支払期間)を長くする
  3. 在庫期間の短縮・改善
  4. リスク回避のために取引先は1社に限定しない
  5. 月間固定費の見直し

売上代金の支払いは遅く、回収は早くと言うのは原則であることは、経営者であれば充分に理解しているはず。

しかし相手があることなので、なかなか自分に都合良く回収条件などをけることはできません。

特に取引が長いほどサイトを長くしたり、短くしたりというのは難しいものです。

こんな場合は新規の取引先の会社を増やすのも改善するコツのひとつ。

取引先が1社よりも複数あったほうが、交渉がしやすくなるのは事実です。

また万が一取引先が倒産しても被害を最小限におさえることもできます。

税理士を味方につける

事業計画を強固なものにして取り組んでいくのなら、税理士を味方につけて経営のサポートをしてもらうのが効果的です。

特に中小企業・個人事業主の場合は、税務について自分の時間を割くことは難しいですよね。

会社の舵を切るのはもちろん経営者であるみなさん自身です。

つまり税理士は、その航海の道を誤らないように指針をしめしてくれるような存在と言いかえることができます。

税理士は数字を見ながら客観的なアドバイスをしてくれるので、運転資金の計算に不安を抱く心配もなくなりますよ。

FP恩田雅之FP恩田
数字にすることで経営や財務状況、お金の流れを「見える化」することができます。それより、経営上の問題点なども把握でき、強い財務体質を構築できるようになるでしょう。

まとめ

会社を経営していると、営業活動だけでは対処できない売上の落ち込みがあります。

そのときになって慌てて対処するのではなく、普段から財務指標をチェックして改善に努めていれば余裕を持って対処することができます。

この記事で紹介した計算方法以外にも、財務指標の情報収集をして、知識を深めることで経営に活かしましょう。