交番でお金を借りる方法とは？注意点と借り入れできないときの対処法を紹介

公衆接遇弁償費を利用して交番でお金を借りられる

警察には、公衆接遇弁償費（こうしゅうせつぐうべんしょうひ）という貸付制度があります。

警察からお金を借りられることに意外性を感じる人もいると思いますが、財布を落とした・盗難の被害に遭ったなどの緊急時であればどなたでも利用できます。

外出先でお金を無くして途方に暮れている人は、ぜひ公衆接遇弁償費の利用を検討してみましょう。

こちらでは、公衆接遇弁償費について、利用条件や制度の特徴を詳しく解説します。

公衆接遇弁償費で借りられる金額は1人に対して原則1,000円まで

公衆接遇弁償費は緊急時にお金を借りられる制度ですが、上限は1人対して原則1,000円です。

万単位のお金を借りるのは難しいと考えてください。

またあくまでも上限が1,000円なので、1,000円満額借りられないケースもあります。

1,000円以上借りたいときは事務担当者の判断が必要

公衆接遇弁償費で借りられる上限は1,000円ですが、必要だと認められればそれ以上の金額を借りられる場合があります。

しかし1,000円以上のお金を借りるのは難しく、交番で貸せるかどうかの判断ができません。

警察内で交付する”公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定について”でも、1人に対する貸出額1,000円を超える場合について以下のように記載しています。

1人に対する貸出額1,000円を超える場合には、事務担当者（不在の場合は補助者、夜間等で補助者が不在の場合には本署当番責任者、または当直責任者）に報告してその承認を受けること。ただし、急を要し事前に承認を求めることができないときは、事後速やかに承認を受けること。

事務担当者とは、地域課長や企画課、運転免許試験場、鉄道警察隊に準ずる者とのこと。

公衆接遇弁償費は、警察官が個人的にお金を貸しているわけではありません。

交番で「もう少しお金を貸して欲しい」とお願いしても、事務担当者が認めない限りはお金を借りられないので注意しましょう。

理由なしにお金を借りられない？交番でお金を借りる条件

公衆接遇弁償費はいつでも交番でお金を借りられる制度ではありません。

他に対処法がないときに使える制度で、以下の緊急時に利用できます。

(1) 外出先で所持金を盗まれ、又は遺失した者に対する交通費
(2) 行方不明者等の保護にあたり、応急的な措置に要する経費
(3) 行路病人の保護又は交通事故等による負傷者の救護にあたり、一時的応急措置に要する経費
(4) その他公衆接遇の適正を期するため必要とする経費

具体的なシチュエーションをまとめると以下のとおりです。

それぞれの内容を順に解説します。

1.外出先で所持金を盗まれた・紛失したときの交通費

所持金がない状態で帰宅が困難になった場合、公衆接遇弁償費を利用して自宅までの交通費を借りられます。

ただしお金を貸してもらえるのは、借りるしか対処法がない場合に限定されます。

いきなり交番でお金を借りようとしても、「先に他の方法がないか確認してください」と言われる可能性が高いです。

すぐに交番でお金を借りるのではなく、以下で紹介する方法を検討できないか確認しましょう。

まずは冷静に他の手段を考えるのが先決です。

「対応方法が何もない」となったときに交番を頼ってください。

すでにお伝えしたように、公衆接遇弁償費の上限は1,000円です。

自宅が遠方で「1,000円では交通費が足りない」となる方がいるかもしれません。

しかし交通費が1,000円では足りない場合、交番で対応できる範囲を超えます。

そのときは事務担当者もしくは当番責任者の承認を得て、足りない交通費分のお金を借りましょう。

2.行方不明者保護の費用

行方不明者を保護した際の費用としてお金を借りられます。

なぜなら行方不明者を救援する場合、状況次第で緊急性の高い可能性があるからです。

緊急時に手持ちのお金がなければ、満足な救援ができなくなるので、公衆接遇弁償費にてお金を借りられます。

行方不明者を保護した際に発生する費用の一例は以下を参考にしてください。

行方不明者保護に必要と判断されれば、お金を貸してもらえます。

3.病人や交通事故による負傷者の救護

突然の交通事故等による負傷者や急病の方の救護で緊急性が高い場合、必要な費用を借りられます。

4.その他警察官が必要と判断した場合

すでに紹介した①～③以外で緊急性が高く、警察官から公衆接遇弁償費の対象と認められれば、お金を借りられます。

公衆接遇弁償費の特徴

公衆接遇弁償費の特徴は次の4つです。

公衆接遇弁償費の上限は1,000円と少額ですが、すぐにお金を借りられます。

「財布を落として帰宅できない」
「財布を盗まれて帰宅できない」
「財布を持っていない状況で応急処置が必要になった」

このような状況のときにお金を借りられるのは、とても心強いです。

利息が発生しない

公衆接遇弁償費は利息が発生しないので、返済する金額は借りた金額と同じです。

また保証人を付けたり、担保を用意する必要もありません。

返済期日の指定がない

公衆接遇弁償費は、借りたお金のため返済義務はあるものの、返済期日の指定がありません。

この日までに貸したお金を返してくださいといった決まりはないですが、返済をしないと詐欺罪で逮捕される場合があるので注意してください。

審査なしでお金を借りられる

公衆接遇弁償費の貸出目的に沿っていれば、審査なしでお金を借りられます。

カードローンやクレジットカードのように利用者の信用情報を確認しません。

過去に金融事故を起こしたか、どのくらいの借金をしているかなどを調べることなく、お金を貸してくれます。

専門家からの一言
オンダFP事務所 / 恩田 雅之

外出先で財布を落としたり盗まれたりすることは、どなたでも起こりえることです。

そんなとき、慌てないように日頃から複数の対処法を考えておきましょう。

交番以外でもお金を借りられる！公衆接遇弁償費に対応する場所は？

公衆接遇弁償費に対応しているのは、交番や警察署だけではありません。

財布を落としたときなど、以下の場所でお金を借りられます。

近くにパトカーがいれば、交番や警察署まで足を運ばずにお金を借りられます。

専門家からの一言
オンダFP事務所 / 恩田 雅之

交番以外でも公衆接遇弁償費を借りられる場所があることを覚えておくと、緊急事態でも焦らずに冷静に行動を起こすことができるでしょう。

交番でお金を借りる際の注意点

困ったときに役立つ公衆接遇弁償費には、以下のように利用時の注意点があります。

知らなかったでは済まされない状況となる場合もあるため、これらの注意点は事前に把握しておきましょう。

借りる理由が限定される

なぜお金を貸して欲しいのかの理由によって、交番でお金を借りられない場合があります。

公衆接遇弁償費を利用できるかどうかは、交番の判断次第です。

公衆接遇弁償費を利用するほどの緊急事態でないと交番が判断すれば、お金を借りられません。

返済しないと詐欺罪で逮捕される

公衆接遇弁償費は、返済しなかったり嘘をついてお金を借りたりすると寸借詐欺の罪で逮捕される場合があります。

なぜなら返すことを前提に警察がお金を貸す制度だからです。

返済期日はなく、返済が遅れても利息が膨らみません。

「高額なお金を借りてない」
「お金を返しに行くのに交通費がかかる」

このように返済を億劫に感じる方もいると思います。

また督促の電話がかかってくるわけでもないので、「返済しなくても問題ないのでは？」と判断する方がいるかもしれません。

しかし交番でお金を借りるときに、公衆接遇弁償費借受願書兼借受書（略して借受願書）という書類に住所氏名などの個人情報を記入しているため、借りたままでは済まされないのです。

公衆接遇弁償費を利用したら、必ず返済しましょう。

公衆接遇弁償費が資金不足のときは借りられない

利用できる公衆接遇弁償費が尽きている場合、制度を利用できません。

公衆接遇弁償費は以下のように毎年4月に交付されます。

（2）交付の方法等
弁償費は、毎年年度はじめ（4月）に、総括主管者が別記様式第 1 の公衆接遇弁償費交付書により取扱主管者に一括交付する。

公衆接遇弁償費を利用しようとしても、すでに全額貸し出していた場合はお金を借りられないので注意してください。

公衆接遇弁償費を利用できる都道府県が限定される

公衆接遇弁償費は、すべての都道府県で導入されている制度ではありません。

全国47都道府県警の公式サイトを確認したところ、実際に制度の導入を公表しているのは以下の9都道府県だけでした。

ただし公式サイトに明確な記載はなくても、公衆接遇弁償費を導入している都道府県も存在します。

実際に筆者は、導入を公表していない愛知県の交番にて、2015年に公衆接遇弁償費を利用しているからです。

以下のように公衆接遇弁償費の取り扱いがないことを公表する香川県以外ならば、交番でお金を貸してもらえる可能性があります。

現在、公衆接遇弁償費や県民の方に現金を貸与するといった制度はありません

緊急事態が発生してお金が必要なときは、諦めずに交番へ相談してください。

未成年は親権者に連絡が入る

未成年が公衆接遇弁償費の利用申請をした場合、必ず親権者に連絡が入ります。

なぜなら民法第5条の定めによって、未成年がお金を借りるときは親権者の同意が必要だからです。

第五条　未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。

未成年で親権者にバレずにお金を借りたい人は、公衆接遇弁償費以外の方法でお金を工面しましょう。

専門家からの一言
オンダFP事務所 / 恩田 雅之

警察でお金を借りられるのは、自宅までの交通費や家族、知人へ助けを求めるための電話代など緊急時の対応のみと考えておいたほうがいいでしょう。

交番でお金を借りる方法

公衆接遇弁償費によるお金の借り方は、以下のとおりです。

事前にお金を借りるまでの流れをチェックしておきましょう。

交番に行く

緊急事態が発生してお金を借りたいときは、公衆接遇弁償費を利用できる交番や警察署などへ行きましょう。

場所がどこかわからない場合、以下のサイトから確認してください。

お金が必要な理由を説明する

交番に出向いたら、公衆接遇弁償費を利用してお金を借りたいこと、なぜお金を借りたいのかの理由を説明してください。

説明した理由に警察官が緊急ではないと判断すると、お金を借りるのが難しいです。

嘘をつかず、正直にお金を必要とする事情を伝えましょう。

警察官に公衆接遇弁償費を利用できる理由として認められれば、次は借受願書の記入へ進みます。

借受願書を提出する

公衆接遇弁償費を利用するために、公衆接遇弁償費借受願書兼借受書（略して借受願書）を記入して提出します。

借受願書に記入する項目は以下のとおりです。

事実と異なる情報を記載すると詐欺罪にあたる恐れもあるため、正確な情報を書いてください。

また免許証などの本人確認書類があれば提出を求められますが、紛失や盗難で手元にない場合は省略できます。

お金を借りる

借受願書を提出すると公衆接遇弁償費返済書（略して返済書）が交付され、必要に応じた現金を渡されます。

現金と一緒に交付される返済書は返済のときに必要です。

紛失しないように保管しておきましょう。

専門家からの一言
オンダFP事務所 / 恩田 雅之

借受願書に名前や住所、電話番号を記入して借りるので、お金の問題が解決したら早めに返済するようにしましょう。

交番でお金を借りたときの返済方法

借りたお金は、公衆接遇弁償費の利用手続き行った交番に返済するのが基本的な方法です。

しかしお金を借りた交番が旅行先や出張先など、自宅から遠いケースもあります。

そのときは最寄りの警察署や交番などで返済してください。

公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定についてでも、居住地が遠隔などの理由があれば最寄りの当庁派出所等で返済できると記載しています。

(2) 弁償費の返済方法
貸し出した弁償費は、従来、貸出しを受けた派出所等へ返済させることを原則としていたが、貸出しを受けた者の居住地が遠隔である等の特別の理由がある場合には、もよりの当庁派出所等へ返済させることができることとして、これを明文化した。

専門家からの一言
オンダFP事務所 / 恩田 雅之

借りた交番ではなく最寄りの交番でも返済できることを知っていると、ずるずると返済を遅らせるような事態に陥らないで済むでしょう。

交番でお金を借りられないときの対処法

交番でお金を借りらないときの対処法は以下のとおりです。

公衆接遇弁償費を利用できる理由があっても、確実にお金を借りられるわけではありません。

また制度自体を導入しない自治体もあります。

それぞれの対処法について紹介するので、できるものがあれば実践しましょう。

家族や友人を頼る

手元に財布がなくても携帯電話はあれば、家族や友人や知人に連絡をして助けを求められます。

近隣であれば、その場所まで迎えに来てもらうなどしてもらいましょう。

そのため、この方法は自宅の鍵を持っており、家族や知人が対応できる距離に居る場合のみ有効です。

タクシーで自宅に現金を取りに行く

タクシーを利用して自宅に帰り、そのまま自宅にある現金でタクシー代を支払う対処法があります。

本来は電車やバスなどで安く帰れたのに、タクシー代の費用がかかる点は覚悟してください。

ただしこの方法は自宅にタクシー代を支払えるだけの現金がある人しか検討できません。

カードローンを利用する

手元に運転免許証などの本人確認書類があれば、消費者金融カードローンからお金を借りるのも方法です。

大手消費者金融であれば全国あらゆる場所に自動契約機を設置していますし、休日も営業しています。

またインターネットだけで申し込みから借り入れの手続きができる消費者金融カードローンもあります。

借入金額が50万円を超えなければ借り入れに必要なのは基本的に本人確認書類だけです。

さらに消費者金融カードローンの審査は、早ければ最短3分で完了、最短即日融資に対応しています。

不要なら完済後に解約すればいいので、手元に本人確認書類がある人は消費者金融カードローンの利用を検討しましょう。

短期借入なら無利息で利用できる

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無利息サービスとは、決められた期間内に返済すれば元金の支払いだけで済みます。

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※お申込み時間や審査によりご希望に添えない場合がございます。

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原則勤務先への電話連絡なし！プロミス

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※申込時の年齢が19歳以下の場合は、収入証明書類の提出が必須です。
※高校生（定時制高校生含む）はお申し込みできません。
※18、19歳の方は契約にいたりづらい可能性があります。

プロミスの在籍確認については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

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更新日：2024.04.17

利用に注意！絶対に手を出してはいけないお金の借り方

どうしてもお金が必要だからといって、以下のような手段を選ぶのはとても危険です。

利用するとさまざまな危険に巻き込まれる可能性が高いです。

順に説明するのでチェックしていきましょう。

個人間融資

個人と個人の間でお金の貸し借りを行うことを個人間融資といいます。

SNS等の「すぐにお金を貸します」「審査なし」といった勧誘によって面識のない他人とお金の貸し借りをするのがほとんどで、中には個人を装った闇金がいます。

法外な金利を課せられたり、執拗な取り立てを受けたり、借りるときに渡した個人情報が悪用されるなどの危険性があります。

「SNSで簡単にお金を借りたい」といった安易な考えで、個人間融資を利用してはいけません。

闇金や街で見かけた怪しい消費者金融に頼る

「誰にでもお金を貸します」
「審査なしですぐにお金を借りられます」

インターネットや街で、これらの宣伝文句を謳う消費者金融会社を見ると、つい利用したくなりがちですが絶対に利用しないでください。

貸金業者として登録せずに貸付を行う、違法業者の可能性が高いからです。

違法業者からお金を借りてしまうと、法外な利息と取り立てによって生活が余計苦しくなったり、家族や周りにいる人に被害が及んだりする場合があります。

違法業者の見分け方が、店頭や公式サイトに記載された電話番号を金融庁の登録貸金業者情報検索入力ページにて検索することです。

電話番号の登録がない、検索をしても業者の情報が見つからない場合、違法業者の可能性が高いです。

その他に、以下の2点に当てはまるかどうかをチェックしておきましょう。

上限金利は法律にて20.0％までと定められています。そのため、上限金利を超える融資をしている業者も違法業者の可能性が高いです。

またどれだけ審査に通過できなくて困っていても、審査なしを謳う業者からはお金を借りないでください。

貸金業法などの法律を遵守する貸金業者が、審査をしないことはありません。

専門家からの一言
オンダFP事務所 / 恩田 雅之

カードローンで借りる場合は、テレビCMなどを流している名前の通っている業者を選択しましょう。

また、はじめての利用の場合、無利息サービスを設けている業者があります。

緊急事態の対応だけの活用でしたらそのような業者に申し込みましょう。

まとめ

公衆接遇弁償費は緊急時にお金を借りられる制度です。

お金を借りるしか対処法がないときに、1人に対して上限1,000円を貸し出してもらえます。

そして借りたお金で発生したトラブルに対応したら、後日返済が必要です。

交番に行けば必ずお金を借りられるわけではありませんし、返さなければ犯罪となるため絶対に返済しましょう。

交番で公衆接遇弁償費の利用が認められなければ、家族や知人に来てもらったり、タクシーで帰ったりする方法があります。

その他にもカードローンでお金を借りるなど、複数の選択肢の中からそのときの状況で自分に最適な方法を選んでください。