クレジットカードの裏にサインは必要? デジタル化の時代に知っておきたい基礎知識
「カード裏のサインって書かなくても使えるけど必要なの?」
「最近は電子マネー決済がメインだからカード裏のサインを書いていない」
上記のように、クレジットカード裏にサインをしないまま、カード利用をしている方がいるのではないでしょうか。
ネットショッピングや暗証番号打ち込みの決済によって、カード裏サインの必要性を感じにくいですよね。
またApple PayやGoogle Payなどのスマホ決済により、カード本体を店頭で出す機会が少なくなりました。
しかしカード裏のサインは、盗難・紛失時の補償やセキュリティ面で、重要な役割があるのです。
この記事では、クレジットカードの基礎知識となる、カード裏サインの必要性を解説していきます。
クレジットカード裏面のサインはなぜ必要?
そもそもなぜクレジットカード裏面に、サインが必要なのでしょうか。
サインがなくてもショッピングや優待を利用できます。
しかし以下3つの理由から、カード裏面のサインが必要です。
- 利用規約違反になるから
- 店頭でカード利用を断られる可能性があるから
- 盗難・紛失時の補償がなくなるから
それぞれどのようなリスクがあるのか、詳しく解説していきます。
利用規約違反になる
実はクレジットカード裏面のサインがないと、利用規約違反になります。
サインをしなくてもカード利用はできますが、発行元のカード会社が公開している会員規約に、サインが必要と明記されているのです。
たとえばJCBカードの場合、会員規約第2条に以下の記載があります。
上記画像のピンク色の箇所をみると、「会員は、カードを貸与されたときに直ちに当該カードの所定欄に事故の署名を行わなければなりません」と書いてありますね。
とはいえ前述したとおり、サインがなくても利用できてしまうので、あまり悪影響を感じない方が多いのではないでしょうか。
しかし会員規約に明記されている以上、早く利用したいという気持ちを抑えて、真っ先にサインをする必要があります。
店頭でカード利用を断られる可能性がある
クレジットカード裏のサインがないと、店頭でカード利用を断られる可能性があります。
せっかく買い物や食事を楽しんだあとに、店員さんから「カード利用はできません」と告げられると困惑しますよね。
なぜカード利用を断られるかというと、カード所有者がカード名義人であるという確認が取れないからです。
本人確認が取れないことでカード利用を断られるのには、以下2つの意味があります。
- カード会社の審査に通った信用力のある人間だという証明ができない
- 盗難や拾得したカードで不正利用を疑われる
つまりお店側は「いま決済しようとしている人が、カード会社の審査に通った人と同一人物なのか確証が得られない」という判断ができるのです。
なおカード裏にサインがない場合、その場でサインの記入を指示してくれる店員さんもいます。
ただしサインに応じない場合、クレジットカードの利用は断られる可能性が高いでしょう。
快適にカード決済を行ううえで、クレジットカード裏のサインは欠かせません。
盗難・紛失時の補償がなくなる
カード裏のサインがないカードは、盗難・紛失により他人の手に渡って不正利用された場合、補償対象から外れる可能性があります。
たとえばJCBカードの場合、不正利用が発覚したときにJCBカードに連絡を行えば、「60日以内なら被害額を補償する」と会員規約に明記しています。
しっかりとカード裏面にサインがあると、安心できますね。
しかしカード裏面のサインがなく、他人の手に渡ると、勝手にサインを書き込まれる可能性があります。
そのため不正利用されても規約に違反しているという理由から、被害額が補填されず、支払い義務が生じてしまいます。
なお日本では、2022年1月~6月の間で約205億円もの、クレジットカードの不正利用被害が発生していました。
「自分は大丈夫だろう」と思っていても、多くの被害が出ているため、リスク管理という観点からもカード裏のサインは重要です。
クレジットカード裏面にサインするときの注意点
ここまでクレジットカード裏のサインが、なぜ必要なのか解説してきました。
ここからはカード裏面のサインに関する注意点を紹介していきます。
たとえば初めてクレジットカードを発行する方や、サインなしで使用してきた方にとっては、サインに細かなルールがあるのかわからないですよね。
利用規約を隅々まで読むのは気が遠くなるので、5つにまとめたポイントを見ていきましょう。
- クレジットカード裏面のサインは漢字でもひらがなでもOK
- フルネームでなくてもOK
- 慣れない書体や再現性の低い字は避ける
- サインミスをするとカードの再発行が必要
- 家族カードのサインはカード所有者がサインする
ではそれぞれ順番に解説していきます。
クレジットカード裏面のサインは漢字でもひらがなでもOK
結論、サインは漢字・ひらがなや外国語のサインでも問題なく、書体などの指定もありません。
重要なのは、【サインを書いたのが自分である】と証明できるかどうかです。
たとえばひらがなでフルネームのサインを書いたとしましょう。
決済時に売上票にサインを求められても、簡単なので便利ですよね。
しかし不正利用のリスクを考えると、誰でも簡単にマネできると言い換えられます。
つまりセキュリティが甘くなり、不正利用の被害を誘発する恐れがあります。
そのためあまりにも簡単なサインは避けたほうがいいでしょう。
サインはフルネームでなくてもOK
カード裏面のサインは、フルネームでなくても大丈夫です。
たとえば以下のようなサインでもOKとなっています。
- 大谷
- 翔平
- SHOHEI
- おおたに
- S・O
ただし前述したとおり、誰でも簡単にマネできるため、不正利用のリスクが高くなります。
お店の方からも、「他人が成りすまして書いたサインではないか」と不審がられてしまいます。
慣れない書体や再現性の低いサインは避ける
慣れない書体や再現性の低い字で、カード裏のサインを記入するのは避けましょう。
たとえば漢字フルネームのサインを記載したのなら、国内だけでなく海外でも必ず漢字フルネームでサインをする必要があります。
そのため書き慣れていない国の文字や、オリジナルの複雑なサインなどは、決済時にサインを求められた場合スマートにサインできません。
またお店の方から、不正利用を疑われる可能性もあるため避けましょう。
サインミスをすると再発行が必要
クレジットカード裏のサインを誤って記入してしまうと、不正利用防止の観点から、訂正や上書きができません。
たとえば間違えたサインのうえから二重線を引くのはNGです。
もしサインミスをしてしまったら、発行元のカード会社へ連絡して、再発行の手続きを行いましょう。
なおカードを再発行すると、カード会社によっては、カード番号が変わってしまいます。
そのため公共料金の支払いやサブスクの登録をした方は、登録したカード情報を削除しなければならないかもしれません。
またカード再発行は、ほとんどの場合、手数料が発生します。
手数料はカード会社によって異なりますが、グレードの高いゴールドカードは無料の場合が多いです。
家族カードのサインはカード所有者がサインする
ご家族がいる場合、ポイントを効率よく貯めようと考えて、家族カードを発行している方がいるのではないでしょうか。
家族カードも本カード同様に、カード裏面にサインが必要です。
しかし本会員が家族カードの裏面にサインしてはなりません。
必ず家族カードの所有者本人がサインします。
つまり家族カード所有者が子供の場合、子供がカード裏面にサインしなければなりません。
カード決済時のサインに関する注意点
ここからはカード裏面のサインではなく、カード決済をしたときのサインで注意しておくべき内容を解説していきます。
なお以下3つの項目に分けて解説していくので、しっかり見ていきましょう。
- 売上票にはカード裏面と同じサインが必要
- 海外でもカード裏面と同じサインをする
- 本人以外が代筆でサインするのはNG
それぞれ順番に解説していきます。
売上票にはカード裏面度同じサインが必要
カード決済をすると、レシートのほかに3つの売上票が一緒に出てきます。
- カード会社用
- お客様控え
- 加盟店控え
上記のうち、カード会社用の署名欄と書かれた箇所にサインする必要があります。
売上票へのサインは、必ずカード裏面に記載したサインと同じでなければなりません。
たとえば一方が漢字で、一方がカタカナという場合は、カード利用者の本人確認ができため利用を断られる可能性があります。
お店の方から不審に思われないためにも、カード裏面のサインと売上票は同じサインをしましょう。
海外でもカード裏面と同じサインをする
海外でクレジットカードを利用して、売上票にサインを求められたら、カード裏面と同じサインをしてください。
「海外出張が多いからカード裏面は英語のほうがいいかな」
上記のように考える方もいるかもしれませんが、海外で利用を想定したカードであっても、漢字やひらがなのサインで問題ありません。
重要なのは、カード利用者がカード発行者本人なのかという点です。
海外だからといって、英語や韓国語で売上票にサインをする必要はありません。
必ずカード裏面に記載したサインと同一のサインをしましょう。
本人以外が代筆でサインするのはNG
家族間で1枚のカードを使いまわしていると、ついつい代筆をしてもらいたくなりますよね。
しかし本人以外がカードを利用するのは、カード会社が定める会員規約に違反します。
もしカードの貸し借りの事実がカード会社に発覚したら、利用停止や強制解約といった処分が実行されてしまいます。
いくら信用できる家族や有人だからといって、カードの貸し借りは絶対にNGです。
また1枚のカードを家族間で使いまわしているなら、家族カードの発行を検討しましょう。
カードによっては、年会費無料で発行できる家族カードがあるので、年会費の負担なく利用してもらえます。
家族カードがあると、効率よくポイントを貯められるので、配偶者や子供に家族カードを持ってもらうことは大きなメリットです。
決済時に求められるサインと暗証番号打ち込みの違い
カード決済時には、売上票サインのほかに、暗証番号打ち込みによる決済があります。
しかし両者の違いを答えられる方は、少ないのではないでしょうか。
結論、ICカードを処理できる端末もしくはカードでの決済であるかという違いです。
クレジットカードには、ICチップが埋め込まれています。
カードによってICチップ埋め込みの有無も影響しますが、お店側の端末がICカードの読み取りに対応しているかどうかという違いがあります。
サイン(署名) | カード裏面のサイト売上票のサインが、本人のものであるかチェックしている。 |
---|---|
暗証番号打ち込み | ICカードの読み取りにより、暗証番号打ち込みで本人確認をしている。 |
なおカードの番号をど忘れしてしまったという場合は、お店の方に「サインでお願いします」と伝えれば、サイン決済に応じてくれる場合があります。
上記のような緊急時に役立つのが、サインのいいところでもあるので、カード裏面のサインは重要です。
タッチ決済の登場でサインレス決済が拡大中
クレジットカード決済時の本人確認は、サインもしくは暗証番号打ち込みによる決済が馴染み深いです。
しかし2019年頃から、端末にカードをかざすだけで決済できる、タッチ決済が普及しはじめています。
「決済時にサインするのが面倒」と感じている方にとって、願ったりかなったりな決済方式と言えるでしょう。
なお2020年9月末時点では、国内のタッチ決済対応カード枚数が3,230万枚となり、前年の2.3倍を記録しています。
また2019年12月には、タッチ決済の取引数が2020年9月と比べて、約15倍以上の取引がありました。
混みあいがちなスーパーのレジや朝のコンビニでも、あっという間に会計できる手軽さがタッチ決済の魅力です。
タッチ決済は利用額には制限があるので注意
決済時のサインを必要としないタッチ決済には、1会計で決済できる金額に制限があります。
以下4つの国際ブランドが展開する、タッチ決済の利用上限金額を表にまとめました。
- Visaのタッチ決済
- Mastercard®コンタクトレス
- JCBコンタクトレス
- AMERICAN EXPRESS®コンタクトレス
タッチ決済上限利用金額 | |
---|---|
Visaのタッチ決済 | 原則1万円 |
Mastercard®コンタクトレス | 1万円 |
JCBコンタクトレス | データなし |
AMERICAN EXPRESS®コンタクトレス | 1万円 |
上記のうちJCBコンタクトレスのみ、利用金額の上限にまつわる情報がわかりませんでした。
なおJCBグローバルサイトのよくある質問で、タッチ決済の利用金額の上限についての質問に対し、以下の回答が記載されています。
「一部のお店では一定金額以上のお支払いでタッチ決済を利用できない場合がります。」
おそらくほかの国際ブランド同様に、1万円を上限としている可能性が高いでしょう。
たとえばランチや映画鑑賞など、1万円以下の決済が想定される場合は、タッチ決済でスムーズにお会計ができます。
いっぽうで家具家電などの高額な商品の購入時は、サインを求められる可能性が高いです。
カード裏面にサインがないと、カード利用を断られても仕方がないので、タッチ決済があるからと油断せずカード裏面のサインは速やかに行いましょう。
まとめ
クレジットカード裏のサインは、安心して快適なカード決済を行うためにも非常に重要です。
なおクレジットカード裏面のサインが必要な理由をまとめると、以下の3つ。
- 利用規約違反になる
- 店頭でカード利用を断られる可能性がある
- 盗難・紛失時の補償がなくなる
いまはスマホ1つで決済できるデジタル時代です。
そのためリアルカードを、店頭で出す機会が少なくなり、カード裏のサインがなくてもデメリットを感じにくいです。
しかし万が一、盗難・紛失したとき、なにも補償がなく高額な支払義務を負う可能性があります。
カードを安全に、そして快適に使うためにも、カード裏のサインは非常に重要です。